この記事では、日本昔話界のレジェンド「浦島太郎」のお話によく似た中国の伝説をまとめています。鬼や天狗など日本には中国から伝わった妖怪や伝説が多くありますが、浦島太郎によく似たストーリーも中国に多く存在しています。一つ一つ簡潔にまとめておりますので、興味のある方はぜひご一読ください。
前回の記事を読んでいない方は是非読んでみてください。
逢球さん
昔逢球さんという方がいました。彼が山に入って木を切っているとき風に乗っていい匂いがしてきました。 逢球はこの匂いはどこから来ているのかと、その匂いの方向に歩いてみると、玉女山という山にたどり着きました。するとそこには美しい宮殿がそびえたっていて、そこにはとても美しい女性4人が、琴を奏でていました。
それを眺めていると、鶴に乗った女が現れ、俗人はこの宮殿に入ってはならないと言われ、逢球は怖くなって逃げだしました。そして後ろを振り返ると、宮殿はいつの間にか消えていて、自分の家に戻っても跡形もなくなり、村の人々も知らない人ばかりになっていた。逢球は何かおかしいと思い、村の人に今は何年かと尋ねると、建平年間であると言われました。
男が家を出発し山で木を切っていたときは太始年間の時代、そこから建平年間まで数十年の間が過ぎていたのです。男は一日もたっていないと思いましたが、とても不思議な話です。
劉晨さん
昔剡縣というところに、 劉晨さんという人がいました。漢の永平年間に、彼の友達阮肇さんと一緒に天台山で薬草を探していました。その途中で道に迷ってしまいます。彼らは二週間ほど山の中を歩き回りましたが、道は見つからず、桃の実を食べたり、谷の水を飲んでいたりしました。二人が谷で水を飲んでいると何やら茶碗のようなものが流れてきました。そこには胡麻ごはんが入っていました。
二人はこれを見て、とても喜びました。なぜならこのようなものが流れてくるということは、この近くに人が住んでいるということだからです。そして二人はお椀が流れてきた方向を目指して歩きました。すると大きな谷のほとりに二人の女性が立っていました。女は「劉晨さんと阮肇さんですね?お待ちしておりました」といいました。なぜか彼女たちは二人の名前を知っていたのです。そして家の中に案内されました。
家の中には大勢の女性が働いていました。そして彼女たちは二人にご馳走を振舞いました。そこでの生活は素晴らしく、すっかりなじんで半年という月日が流れていました。そうしているうちに男たちはだんだんと故郷が恋しくなってきました。そこで女に相談してみると、故郷への帰り道を教えてくれました。
それに従って二人は歩いていきました。すると故郷にやっと帰ってこられたのです。しかし様子が少しおかしいのです。そこで村の人に聞いてみると、なんと時代が七代も後の時代になっていたのです。彼らには半年ちょっとの時間でしたが、実際は100年以上もたっていたことになります。不思議な話です。
王質さん
晉の時代、王質という木こりが住んでいました。山の中で木を切っていると、一つの石室が目に入った。石室をのぞいてみると、中には子供が二人いた。二人が遊んでいるのをしばらく見ていると、子供たちは王質に棗の実のようなものを渡してきた。せっかくくれたならと、王質はそれを食べてみた。するとそれはとても甘くておいしかった。そのあとも近くで子供たちを見ていると、子供たちが「もうそろそろ帰ったほうがいい、ここにきてずいぶん経つだろう」といった。
王質はそんなわけないだろう、まだ数時間もたっていないと思いながら、斧を持って帰ろうとすると、斧が朽ちて持つことができなかった。これは不思議なことだと、街に戻ってみると自分の知っている街ではなく、おかしいと思い村人に聞いてみると、山に入ってからすでに数百年が流れていたのである。不思議な話です。
費長房さん
昔、汝南というところに費長房さんという人がいました。彼が住んでいる街では市場が開かれていて、いろいろな人がいろんなものを売っていましたが、その中で一人のおじいさんが薬を売りに来ていたのです。彼は見た目はいたって普通なのですが、あるとんでもない技を持っていたのです。それは商売が終わると壺の中に入るということです。まさにランプのジーニーさながらの達人技。その現場を費長房は目撃してしまいました。
次の日そのおじいさんに会いに行ってみると、手を引っ張って一緒に壺の中に入ってしまいました。壺の中には大きな館があって、食べ物、お酒が並べられていたそう。おじいさんが「好きに飲み食いしていいよ」といったので、費長房は酒を飲み、ご飯を食べた。その後おじいさんと一緒に壺の中からでて家に帰ったが、おじいさんがこんなことを言い始めた。「私は仙人で罰を受けるために人間の世界におる。これから元の世界に帰るんじゃが、一緒に来るかい?」と。
費長房はついていくことにしました。まずは山を越えます。山の中には虎が群がっていてとても危ない状況でしたが、彼は平気な顔をしていました。次におじいさんは蛇がたくさんいて、上から大きな岩が一本の縄でつるされているこれまた危ない部屋に連れ込まれますが、また平然な顔をしていました。それを見たおじいさんは、すごい!とほめたたえ、最後の試練だ、これを食ってみろと言いました。
それはうんちでした。そのうんちには三匹の虫が住んでいてとても臭いにおいがしていました。費長房はさすがに平然と食べることはできず、ギブアップしました。おじいさんはがっかりした表情で「ああもう一息で、仙人になれるはずだったのに。。残念だ。早く家に帰りなさい」そう言って、竹の杖を渡しました。その杖にまたがると空中に飛び立ち、やがて龍に姿を変えました。そして故郷に帰ってきたのです。
家に帰ると家族が待っていました。するとせいぜい10日程度だと感じていた旅はなんと10年間にも及んでいたことがわかりました。とても不思議なことです。
元藏幾さん
隋の時代のこと、元藏幾さんという方がいました。ある時船に乗っていると、黒い霧が立ち込め、視界が悪くなって方向が分からなくなってしまいました。それに加え、とても強い風が吹き船は大破してしまいました。船に乗っていた人たちはみんな溺れ死んでしまいましたが、元藏幾は漂流していた木につかまり、そのまま海を漂った。そうして数日が立つとある島に流れ着いていました。
その島は滄洲という島で、中国からは遠く離れた島でした。島民はとてもやさしく、彼を介抱し、酒や食べ物を振舞いました。その後すっかり元気になり、中国に帰りたくなってきたころ、島民はとても丈夫な船を用意し、この船で中国に帰ってくださいと船をプレゼントしました。
それに乗って、 元藏幾は中国へ帰ります。遠く離れているはずなのに、なぜか10日ほどで、中国の東莱につきました。そして故郷につくとまたびっくり、数か月のつもりが、200年もたっていたそう。。。不思議な話です。
文広通さん
宋の時代に、文広通さんという方がいました。ある日彼の畑がイノシシに荒らされているのを見つけ、彼はそのイノシシを矢で撃ちました。が、イノシシは血を垂らしながら逃げてしまい、文は逃がすまいと、その血をたどっていくと大きな穴に行きつきました。その穴を進んでいくと、その穴は狭くなるどころか大きくなっていってやがてどこかの街に出ました。それに驚いて、すぐに来た道を戻ると、12年という月日がすでに経過していました。
陰隠客
昔唐の中宗の時代に、陰隠客という人がいました。彼は井戸を作るために二年も池を掘っていましたが、水が一つも出てきませんでした。その後さらに一か月ホルト、土の中から犬や鶏の鳴き声が聞こえてきました。もっと掘っていくとそこに穴があるのを見つけました。穴を通ると、別世界に通じていました、五色の鳥や大きな蝶が美しい花畑を飛んでいて、美しい泉谷大きな宮殿もたっていた。
彼が宮殿のそばに行ってみると、門の護衛の兵士が、驚き怪しんでいました。彼らにいきさつを話すと、沢山の兵士が集まってきて、濁った気が漂っているがどうしたのだと言って、「実は人間がどういうわけか来てしまっているのです」と答えました。
彼はなんと下界の仙人の国にやってきてしまったのです。そのあと仙人の国を見物して、人間界に帰ってきましたが、100年以上が経っていたようです。
ウラシマ効果について
ゆかりのスポット
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まとめ
今回は松村武雄先生の著書を参考にさせていただいております。
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